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概要:欧州中央銀行(ECB)は大規模な資産買い入れプログラムを打ち切ってからまだ2カ月ほどしか経過していないが、早くもユーロ圏の景気減速長期化を防ぐ対応を迫られている。 こうした中で、7日の理事会とドラギ総裁会見、最新の経済見通し発表を通じて政策変更の地ならしが行われる可能性がある。 ユニジェスチョンのマクロ経済調査・クロス資産ソリューション責任者フロリアン・イエルポ氏は「(ECBにとって)少なくとも現段階で、マクロ環境改善のためにで
[ロンドン 4日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は大規模な資産買い入れプログラムを打ち切ってからまだ2カ月ほどしか経過していないが、早くもユーロ圏の景気減速長期化を防ぐ対応を迫られている。
こうした中で、7日の理事会とドラギ総裁会見、最新の経済見通し発表を通じて政策変更の地ならしが行われる可能性がある。
ユニジェスチョンのマクロ経済調査・クロス資産ソリューション責任者フロリアン・イエルポ氏は「(ECBにとって)少なくとも現段階で、マクロ環境改善のためにできることを議論する余地はある」と説明した。
以下に記したのはECB理事会を前に市場が抱く5つの疑問だ。
(1)銀行向け長期資金供給の詳細を知ることができるか
ECBは銀行向けに低利の長期資金供給を実施する準備を進めており、投資家とすれば重要なのはその詳しい内容だ。バークレイズは、新型の資金供給は銀行にとってこれまでよりは条件が厳しくなり、規模も縮小すると予想する。
先週にはクーレ専務理事が、資金供給を話し合っていると明かして市場を驚かせた。最近公表された1月のユーロ圏の企業向け融資は伸びが急速に鈍化しており、政策担当者は銀行支援に動く新たな理由を得た形になった。
エコノミストの一部からは、7日にも新たな長期資金供給オペ(LTRO)ないし貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)が正式発表される可能性があるとの声も出ている。
以前に実施されたTLTROは来年半ばから返済期限を迎えるので、ECBは銀行が流動性不足に陥らないよう、今年6月ごろには新型の実施に踏み切りたいかもしれない。
ピクテ・ウエルス・マネジメントのストラテジスト、フレデリック・デュクロゼ氏は「ECBはLTROを議論するだけでなく、実施に関して何らかのヒントを出さないと、市場は失望するだろう」と述べた。同氏は新型の資金供給は4月に正式決定、6月に実施の運びとなると予想している。
(2)ECBの経済見通しをどの程度引き下げるか
欧州最大の経済規模を誇るドイツの勢いが止まり、イタリアは景気後退に突入しただけに、ECBが成長率と物価上昇率の見通しを引き下げるのはほぼ間違いない。
エコノミストは、市場が特に注視すべきは来年の見通しで、これはECBの経済成長に関する懸念の度合いを探る最適な手掛かりになると話す。
またABNアムロのアナリストチームによると、ECBのコア物価上昇率見通しは高過ぎる。投資家の長期的な期待インフレ(5年後からの5年間の予想物価上昇率)は足元が1.50%で、直近のボトムからは持ち直しているものの、ECBの物価目標である2%弱は下回ったままだ。
(3)ECBは夏いっぱいまで政策金利を据え置くというガイダンスを修正するか
最近の当局者発言を踏まえると、その公算は乏しい。ECB理事会メンバーで次期チーフエコノミストに就任見通しのレーン・アイルランド中銀総裁は先週、ユーロ圏の景気減速について深刻な見方は示さず、政策ガイダンスの変更にも否定的だった。同じ理事会メンバーのワイトマン独連銀総裁も、ECBは利上げ予定の先送りを正式に表明する必要はないと断言した。
一方投資家が見込む利上げ時期は既に来年半ばまで後退している。そのためジェフリーズのエコノミスト、マルヒェル・アレクサンドロビッチ氏は、ガイダンス修正の可能性を完全には排除できないと主張。「ECBとしては、市場が最初の利上げ時期を後ずれさせたのは間違っていないとシグナルを送るチャンスになるかもしれない」と話した。
(4)欧州と米国の貿易摩擦拡大をECBはどれほど心配しているか
欧州連合(EU)と米国の貿易摩擦はECBの政策担当者にとって主要な懸念材料の1つとなっている。摩擦が激化すれば、ユーロ圏全体で大きな規模を持つ輸出産業が打撃を受けかねないからだ。
トランプ米大統領は先月、貿易協議で合意に達しない場合、欧州からの輸入車に関税を課すと警告しており、欧州委員会は協議を始めたい考えだが、フランスが同意を留保している。
米国が関税を発動してしまうと、排ガス不正の問題で苦境に置かれたフォルクスワーゲンなどの独自動車業界が一段と痛手を被り、ECBの景気テコ入れの足かせとなってしまう。
ドラギ氏も、通商政策において各国が一方的な決定を下すのは危険で、経済の信頼を損ねる恐れがあるとくぎを刺している。
(5)ドラギ氏後任問題を巡る不透明感は政策決定に影響するか
10月に任期を終えるドラギ氏は今回の会見で、後継問題についての観測にはコメントしそうにない。それでも次がだれかが分からないことが政策決定に影響を及ぼす可能性がある以上、質問は出てくるだろう。
ECBが次期総裁を決めるのは5月の欧州議会選後になりそうだが、水面下では後継者選びの作業が進んでいるもようだ。
ワイトマン独連銀総裁はさらに8年続投することが決まり、仏中銀のビルロワドガロー総裁とともに引き続き後継候補に挙げられている。ワイトマン氏はECBの超緩和的な金融政策にしばしば異を唱え、他の理事会メンバーを苛立たせてきた。ただマイナス金利に長らく痛めつけられている銀行株を保有する投資家は、ECBのタカ派シフトを歓迎するだろう。実際、ワイトマン氏続投の報道を受け、ユーロ圏の銀行株は高騰した。
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