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概要:2019年は月額制のサブスクリプション動画配信サービスの大再編の年になりそうだ。アップルの参入、ディズニーのHulu子会社化などの状況を俯瞰して、各社の思惑を分析する。
Disney+のプレビュー版サイト。いまはまだメールアドレスを登録して最新情報を受け取る機能しかない。
ディズニーがHuluを欲したのは、コンテンツ力の強化だけが目的ではないだろう。「総合サービス」としての看板を求めた、という可能性が高い。
ディズニーは2017年以降、配信事業の強化を積極的に進めている。もともとは、アメリカのケーブルテレビ市場でドル箱だったスポーツ局「ESPN」の配信事業を強化しててこ入れするところからスタートしたが、2019年11月から「Disney+」をスタートし、映画・アニメ・ドラマなどの配信を行う。
ESPNもディスニーも、それぞれに強力なファン層と強いコンテンツを持つ。だが、どちらも「専門局」的で総合性はない。EPSNやディズニーの中で「他のコンテンツ」を配信することもできるだろうが、それではわかりにくいし、ブランド力も活かしづらい。
総合力のあるHuluを取得することで、ディズニーは配信において全方位戦略を採ることが可能になる。ここで重要なのは、映像配信の場合、消費者が使うサービスが「1つに集約される」ことは少ない、ということだ。
Shutterstock
アメリカでは、ネットフリックスが6割のシェアをもっている。だとすれば、他はビジネスにならない……と思いがちだ。しかし実際には、他の事業者も十分ビジネスになっている。理由は、複数のサービスに加入する人がほとんどだからだ。
1社ですべてのコンテンツをカバーするのは難しい。一方で、映像配信は月に10ドル程度の出費だ。アメリカの場合、ケーブルテレビ事業者に毎月100ドルを支払っている人も少なくないため、その出費を減らしたり、カットしたりすることを思えば、10ドルを3社契約しても、まだ安くつく。
ネットフリックスのリード・ヘイスティングスCEOは「他の配信事業者はライバルではない」と、ことあるごとに発言している。その真意は「他社と契約したとしても、弊社との契約を止めないならそれでいい。だから戦う相手ではない」(ヘイスティングスCEO)ということだ。
複数のサービスが補完的に家庭で使われる、というのが今の映像配信のあり方だ。だとすれば、「その複数の中でいかに自社の支配率を高めるか」が重要になる。強い専門サービスは選ばれる可能性が高いし、総合サービスもまたしかり。「ネットフリックスとDisney+」という選択をする顧客に、「HuluとDisney+」という選択をしてもらえるようになれば……という狙いではないだろうか?
Apple TVアプリ刷新で「入り口」を押さえるアップル
最新のiOS 12.3で追加された「Apple TVアプリケーション」。
アップルの動きも見逃せない。
アップルは5月14日、iPhone・iPad向けのOSである「iOS」を「12.3」にアップデートした。iOS 12.3には「Apple TVアプリケーション」という新しい機能が盛り込まれている。
これは、アップルがこれまで提供してきた動画配信機能を再整理・統合したものだ。
日本では映画配信のみが利用できるが、アメリカの場合には、各種映像配信サービスと連動し、このアプリを通して各サービスが利用できる。日本でも、ネットフリックスやAmazon Prime Videoとは連携しており、それらの登録されているコンテンツが、すべてではないものの、検索すると出てくる。
Apple TVアプリケーションでネットフリックスのコンテンツを検索したところ。「ほかのAppで開く」をタップすると、ネットフリックスアプリに誘導される。Apple TVアプリが「入り口」を押さえようとしている、というのはこういう意味だ。
3月のスペシャルイベントでAppleTV+を発表するアップルのティム・クックCEO。
撮影:西田宗千佳
普段はApple TVアプリを「配信の窓口」として使うと、複数のアプリを使い分ける必要性が減る……。そんな風にアップルは考えているのだろう。
同じ機能は今後、Macやスマートテレビ用アプリにも提供されていくので、「フロントエンド」を狙っているのは明白だ。
いまは単なるまとめアプリ的な存在だが、秋にアップル独自の映像配信サービス「Apple TV+」がスタートすると、また位置付けが違って見えて来る。Apple TV+は、Apple TVアプリから使える「サービスのひとつ」になるからだ。
2019年秋……となると、特に明言されているわけではないが当然、新型iPhoneの発売タイミングに合わせた開始になることを感じさせる。
先ほど述べたように、映像配信は「複数を契約して使い分ける」のが一般的。だとすれば、使い分けがしやすい窓口を作り、その一等地に自社のサービスを置くことは、非常に大きな意味を持ってくる。
そして、アップルとディズニーの関係は元々良好である。現状は連携の話は出ていないが、なんらかの策が採られても驚かない。
アップルがここで映像配信アプリを整備したのは、そうした競争に向けた「準備」の意味合いが強そうだ。
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(文・西田宗千佳、写真・伊藤有)
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