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概要:Dasha Afanasieva [ロンドン 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 世界中の中央銀行は今、その独立的な立場が政府からの攻撃にさらされている。直近の犠牲者はトルコ中銀総裁の地位を追われたムラート・チェティンカヤ氏だろう。利下げによる成長てこ入れを望むエルドアン大統領は6日、昨年9月以降高金利を維持して市場からそれなりの信頼を得てきたチェティンカヤ氏を更迭した。後任となるウイサル副総裁は、エルドアン氏の要求に応じるのが一層難しい状況になっている、といず
Dasha Afanasieva
[ロンドン 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 世界中の中央銀行は今、その独立的な立場が政府からの攻撃にさらされている。直近の犠牲者はトルコ中銀総裁の地位を追われたムラート・チェティンカヤ氏だろう。利下げによる成長てこ入れを望むエルドアン大統領は6日、昨年9月以降高金利を維持して市場からそれなりの信頼を得てきたチェティンカヤ氏を更迭した。後任となるウイサル副総裁は、エルドアン氏の要求に応じるのが一層難しい状況になっている、といずれ知ることになる。
トルコ経済は、金融緩和が生み出したクレジットブームによる成長が終わった後、苦境が続いている。国内総生産(GDP)は昨年第4・四半期が3%減、今年第1・四半期が2.6%減とマイナス成長が続く。ただチェティンカヤ氏は、昨年夏に通貨リラが急落すると主要政策金利を24%に引き上げて現在まで据え置いてきた。この政策運営は一定の効果を発揮し、消費者物価指数の上昇率はなお16%近くで推移しているとはいえ、6月は1年ぶりの低い伸びを記録した。
一方、アンカラ、イスタンブールの市長選挙における相次ぐ敗北で政治基盤が揺らでいるエルドアン氏は、経済学理論の主流に逆らう形で高い借り入れコストはインフレをもたらすと主張し、利下げを要求している。
ウイサル氏は、チェティンカヤ氏よりもエルドアン氏の意のままに動くかもしれないと予想されており、それによってリラへの圧力は再燃するだろう。しかし新たな通貨危機は、トルコにとって一番避けたいシナリオだ。
昨年のリラ急落のきっかけは、トルコが米国人牧師を拘束したことに対する米政府の制裁だった。そして米国がまた制裁を発動する時期が迫っているかもしれない。トランプ政権は、ロシア製ミサイル防衛システムS─400を受け取ろうとしているトルコへの制裁をちらつかせており、S─400の到着が数日中と見込まれているからだ。ロシアの国防セクターとの取引に関わった国や企業はブラックリストに掲載されてもおかしくない。
これに対してトルコの外貨準備は底を尽きかけているので、リラの防衛能力は乏しい。まして利下げなどすれば、もっとひどい事態になるだろう。
チェティンカヤ氏の更迭で、エルドアン氏が自らの信頼回復のために何か手を打つとの期待には水が差された。6月23日に行われたイスタンブールのやり直し市長選で与党が敗れた後、エルドアン氏が娘婿であるアルバイラク財務相の首を切るのではないかとの見方も一部で出ていたのだ。アルバイラク氏はなまじ影響力を持っているものの、政策運営能力はないと市場に見切られている。
ところがエルドアン氏は逆にチェティンカヤ氏を辞めさせ、市場との対決姿勢を強めつつある。こうした行為は、トルコ経済に対してまだ残っていた信頼に打撃を与えるばかりか、与党内の不協和音を高めてしまう。さらに世界中の中銀当局者は、自分たちの独立性を巡って不安を一層募らせるだろう。
●背景となるニュース
*トルコのエルドアン大統領は6日、中央銀行のチェティンカヤ総裁を更迭した。大統領令によると、後任にはウイサル副総裁が昇格する。来年末まで任期が残っていたチェティンカヤ氏が更迭された正式な理由は明らかにされていない。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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