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概要:無印が昨年に始めた冷凍食品が好評だ。日常的に使えるご飯ものからおかずまでラインアップも幅広い。食品に力を入れる理由とは。
有機栽培や減農薬の青果、店内で焼き上げたベーカリー、弁当・サラダ……。2018年4月にオープンした「無印良品銀座」の1階売り場は食品で埋め尽くされている。
4月にオープンした「無印良品 銀座」1Fでは、食品にも力を入れている。
撮影・猪俣博史
良品計画が昨年来強化しているのが食品である。2018年9月からは新しく冷凍食品も投入。無印といえば生活雑貨が主力なはずなのに、いまなぜ食品に力を入れるのか。冷凍食品投入の狙いは?
生活雑貨や衣服が中心だが……
無印の食品と言えば、菓子類やレトルト食品など嗜好品が中心だった。
Business Insider Japan
無印良品は、もともと大手スーパー西友のPB(プライベートブランド)として1980年に誕生した。そんな成り立ちもあって、スタート時の全40品目の内訳は、トイレットペーパー、洗剤など生活雑貨が9品目に対して、缶詰、スパゲティなど食品が31品目と圧倒的に食品が多かった。
現在は、衣服・雑貨が約1700品目、生活雑貨が約5100品目、食品が約500品目と、生活雑貨が主力だ(2019年2月期)。
無印の食品というと、バウムクーヘン、レトルトカレー、インスタントスープなどの人気商品に見られるように、嗜好品もしくは嗜好品の要素が強い商品が中心である。幅広く商品を手掛けるのではなく、特定の商品にしぼって開発し、それを深堀りしてきた結果である。
例えば、レトルトカレーの人気商品「バターチキン」は2009年の発売から10年続く人気商品。定期的にインドに足を運びリサーチを重ね、商品を改良してきている。
日々の生活の基本となるような食品
冷凍食品では、普段使いのおかずなども充実。内容が見えるようにパッケージは透明。
Business Insider Japan
冷凍食品を手掛けるようになったのは、「食品も嗜好品だけでなく、日々の生活の基本となるような商品に広げていこうと考えた」(嶋崎朝子・良品計画執行役員食品部長)からである。
生活の基本となる商品としてはすでに2018年、ダシ、醤油、塩などの調味料も投入しており、冷凍食品もその一環だ。
無印の冷凍食品は、商品展開にあたって5つのテーマを設定してしている。
1つ目は「素材を生かしたお惣菜」。文字どおり素材を生かした商品で、「ごぼうと九条ねぎのきんぴら」「小松菜と揚げのおひたし」「彩り野菜とひじきの煮物」など。
2つ目は「日本の飲茶」。「国産黒豚肉入り肉焼売」「国産野菜と生姜の棒餃子」のほか、「クリーム大福」「草だんご」などをそろえている。
3つ目の「世界のごはん」は、玄米や雑穀米を使った国産米おにぎりのほか、「キンパ(韓国風のりまき)」「ほうれん草とベーコンのトマトクリームリゾット」など国内外のごはんものを集めた。
4つ目の「世界の煮込み」には、「肉じゃが」「ビーフストロガノフ」「バクテー(マレーシア風豚肉の煮込み)」など。
5つ目の「焼きたての美味しさ」は、温めるだけで食べられる「ホットサンド ベーコン&チーズ」「厚切り食パンのフレンチトースト」「チキンとほうれん草のキッシュ」をそろえた。
冷凍食品の罪悪感をなくしたい
キッシュは電子レンジで温めるとすぐにできたての味が楽しめた。490円(税込み)。通販でも買える。
Business Insider Japan
こうした商品には、従来からの無印の開発コンセプトが息づいている。
無印誕生時のコンセプトは「消費社会へのアンチテーゼ」。時代がかった表現に聞こえるが、バブルがピークに向かう1980年代当時にあっては新鮮な響きがあった。商品本来の価値を離れた、売るための広告やパッケージや販促がマーケティングの主流となるなかで、それが消費者にとって有益なのかという疑問を投げかけたからである。
いまの冷凍食品に照らしてみるとどうなのか。
「冷凍食品と言えば、弁当のおかずとしては重宝されているが、夕食をそれで済ますとなると罪悪感を抱いてしまう。パッケージの写真と中身との落差を感じることも多い」(嶋崎食品部長)
そこで素材へのこだわり、化学調味料不使用、エスニック色の強いメニューにより普段の食生活を豊かにする商品として開発し、罪悪感を抱かせないようにした。パッケージも透明にして、一目で中身がわかるようにした。
人気上位はご飯もの
ご飯ものも電子レンジで温めればすぐに食べられる。五目いなりは薄味なので、子どもにも食べさせやすい。
Business Insider Japan
5月8日時点の人気ランキングでは、1位「ベーコンとチーズのキッシュ」(490円)、2位「五目いなり」(390円)、3位「発芽玄米ごはんの塩おにぎり」(490円)、4位「五穀米ごはんの鮭おにぎり」(490円)、5位「サムゲタン(韓国風鶏のスープ煮込み)」(390円)。
ご飯ものが多い。
ランキングは常に変動していて、長らく不動の1位だったのは「キンパ(韓国風のりまき)」(490円)。だが、販売好調で品切れになる店舗もあり、ランク外になってしまったようだ。
無印の冷凍食品取り扱い店舗は現在、上野マルイ店や錦糸町パルコ店、池袋西武店など20店舗強。2020年度末までに100店舗にする計画である。
食品の割合を30%に
4月に銀座にオープンした無印良品。上階にはホテルも備わるなど、旗艦店になっている。
撮影:猪俣博史
国内の冷凍食品市場を見ると、業務用は伸び悩んでいるが、家庭用はプラス成長を続ける有望市場だ。大手小売業も成長が見込める分野と見て力を入れている。
セブンイレブンは冷凍食品のPB開発を強化し、売り場も拡張した店舗を増やしているし、イオンは仏冷凍食品専門店ピカールと組んで店舗を展開している。高級スーパー成城石井も冷凍食品のPBを2019年3月に投入したところだ。
無印の商品部門別の売上構成比は衣服・雑貨37%、生活雑貨53%、食品8%。食品のウエートは低いが、これを将来的に30%にまで引き上げる目標を掲げている。かなり挑戦的な数値目標だが、達成するには冷凍食品のように領域を広げ、品目数も増やす必要がある。
30%に達すれば、無印の姿も今と大きく変わっているだろう。
無印良品を展開する良品計画は4月10日に発表した2019年2月期連結決算で、売上高に相当する営業収益が4096億円で前期比7.9%の増収となったものの、本業のもうけを示す営業利益が447億円で1.2%の減益となった。減益決算は2011年2月期以来8期ぶり。生活雑貨の苦戦が響いている。
食品は市場規模も大きく、消費者の購入頻度も高い。食品需要そのものを取り込むだけでなく、食品を買い求めに来た客に、衣服・雑貨や生活雑貨を購入してもらう機会も増える。食品は良品計画が次の成長をねらう戦略商品と言えるのである。
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神谷武:フリーランスライター。流通専門誌編集者を経て、2019年独立。
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